わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 わたしは余計な心配をかけさせないために、軽い口調で言うと、箸を伸ばす。そして、ツヤのあるごはんに箸を入れる。

 そのとき隣から人の視線を感じる。

横を見ると、拓馬が眉をひそめ、心配そうにわたしの顔を覗き込んでいた。

「大丈夫?」

「大丈夫」

 さっき母親から聞かれたときのように素直な気持ちで応えることができず、強いものになっていた。

本当にわたしのことを心配しているのかといったことが頭をよぎったからだ。

彼とあまり会話をする気にならず、目をそらし、箸の動きだけを目で追うことした。

だが、その決意をあっさりと奪い去るような軽い言葉が耳に届いた。

「もしかして、今日階段から落ちたのって」

 わたしは思わず箸を置き、拓馬の腕を掴む。

「少し二人きりで話したいことがあるんだけど」

「話?」

 拓馬は意味が分からないのか、眉をひそめていた。

「大事な話なの」

「ごはん食べてからにしたら? 途中で席を立つのは行儀が悪いよ」
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