わたしは年下の幼馴染に振り回されています

 食事を終えると、わたしは拓馬を部屋に連れて行った。

父親と母親はにこにこして、奈月はにやついていたが、ここはあえて無視することにした。

 拓馬を先に部屋の中に入れると、ドアを閉めた。

「今日の階段でのことだけど」

「大丈夫だった? どこか痛む?」

 彼はわたしの顔を覗き込むように尋ねてきた。

「大丈夫だよ。痛くないし。それはいいんだけど、あの話は絶対に人にしないで」

「美月がそう言うなら誰にも言わないよ」

 その理由はただ知られたくなかったからだ。

「話ってそれだけ?」

「それだけ」

 彼は長い腕を頭の後方に伸ばす。

「残念。てっきり愛の告白でもされるのかと思った」

 彼の言葉をすぐに理解し、顔が赤くなるの分かった。

「バカなこと言わないでよ」

 わたしは顔を背け、頬を膨らませる。

「下に戻ろうか。きっとお母さん達が待っていると思うから」

 再びドアを開けようとしたわたしの手が背後からつかまれた。

彼の体が辺り、後ろから抱きしめられたかのように錯覚してしまいそうになる。
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