わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 わたしはため息を吐いた。

「今日は変なことばっかり」

「変なこと?」

「拓馬の学年で人気のある子って誰かわかる?」

「本田?」

「名前を聞いても分からないか。友達が言っていたんだ。わたしが一年で人気のある子と付き合っているという噂があるんだってさ」

「へえ。で、誰と? 付き合っているの?」

 拓馬はわたしに腕をつかまれたまま顔を寄せてきたのだ。

「噂だよ。わたしはその相手のことを知らないんだもん」

「美月はその噂をなくしたいんだよな?」

「まあね。知らない人だもの」

「だったら、明日俺と一緒に学校行かない? そんな噂なくなると思うよ」

「そんなものかな」

 わたしはいまいちぴんとこなかったが、よくわからない第三者とのうわさを流され続けるよりはいいと思い、拓馬の言葉に頷いたのだ。
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