わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 その後ろには満足そうに微笑む母の姿を見つけた。今の時刻が六時十分。

一人暮らしで大変なのは分かるので、呼ぶなとは言わない。

でも、昨夜電話をしたなら、前もって知らせておくくらいしてくれればいいのにと思う。

お風呂に入った後、親とは顔をあわせなかったので、向こうにもそれなりの弁解の理由はあるんだろうけど。

「そのパジャマ似合っているね」

 そう拓馬はさらりと笑顔で言う。

 その言葉で我に返る。わたしは朝起きた状態でリビングまでやってきたのだ。

「着替えてくる」

 顔が赤くなると同時にリビングを飛び出していた。

 部屋に戻るとドアを閉め、もたれかかる。

 いつもと違う心音を刻む心臓に手を当てる。いつになく心臓がドキドキしていた。


 昨日キスされた部分が熱を持ち、思わず頬をなぞっていた。

拓馬はいつも通りの彼で、余裕を見せ付けられたみたいな気がした。
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