わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 あのころより大きくなった彼に戸惑っているのはわたしだけで、拓馬は昔と変わらない感じでわたしと接しているのだろう。

確かに中二の頃からそんなに顔は変わらず、身長も大幅には変わっていない。

ただ年齢だけは確実に重ねてきたといった具合だった。

 そこまで考えて、我に返る。わたしが拓馬との待ち合わせのために早く起きた時間は十五分。

そのことを考えると、そうしたことを延々と考えている余裕はなさそうなことに気づいたからだ。

 結局、制服を着てリビングに戻ると、急いでごはんを食べることになった。

早起きしたのにいつもと変わらない時間に家を出ることになった。

「荷物持つよ」

「いいよ。大丈夫」

 わたしはそう言ってきた拓馬の言葉を笑顔でかわす。

拓馬はわたしの隣を歩いていた。

わたしの目線には拓馬の腕があり、もう昔のように顔をあげないと視線が交わることはなかった。
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