わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 今日、特別に感じるのはわたしがいるからだろう。

昨日、わたし一人でいるだけであれほど注目を浴びたのだ。

それもつきあっていると噂になっている女の子が一緒にいたら、彼に好意を持っている人は間違いなくその姿を執拗に姿を確認するはずだ。

拓馬がわたしのためにとしてくれた優しさが逆効果となってしまっていた。

こんなことなら登校時間をずらせばよかったと思ったとき、明るい声が響く。

「おはよう。美月」

 振り返らずともそれが誰か分かった。佳代だ。

「おはよう」

 わたしの心臓は悪い予感を感じながら高鳴っていた。

その後ろめたさからか、小さな声で挨拶をした。

「何? 元気ないね」

 彼女の視線がわたしの後ろで止まるのが分かった。

拓馬の存在に気づいてしまったんだろう。

口をあんぐりと開け、後方を眺めていた。

その彼女は我に返ったように体を震わせると、口元を綻ばせ、わたしの耳元でそっとささやいた。

「美月、知らないって嘘ばっかり。照れ隠しだったんだ。やっぱり奈月ちゃんの言っていたことは本当だったんだね」
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