わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 少なくとも昨日の時点で嘘はなかった。

どうにでもしてくれというのは今のわたしの状態を言うのだろう。

もう何も弁解する気にもならなかった。

彼女は昨日の噂が真実であるという確信しただろう。

「奈月の言ったこと?」

「何でもないの。ね?」

「そうだね」

 佳代は昨日とは打って変わって、笑顔になっていた。

おそらく彼女の中では照れ隠しをしているわたし像は着実に形成されてしまっただろう。

そして、男っ気のなかったわたしに勘違いとはいえ、彼氏ができたことが嬉しいのかもしれない。彼女はそういう子だった。

「邪魔すると悪いから先に行くね」

 最後に余計な言葉まで残し、軽い足取りで学校に向かった。

「佳代」

 我に返り、彼女を呼ぶが、そのときにはすでに彼女の姿はわたしの手のひらにすっぽりと納まるほどのサイズになってしまっていた。

「さっきのはクラスメイト?」

「そう」
< 71 / 243 >

この作品をシェア

pagetop