わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 拓馬の言葉に重い口調で反応する。

 学校に行けば、クラスにそのことが広まっているんだろうなと思うと気分が重くなってきてしまっていた。

 横に並んでいた拓馬の足が止まる。わたしは思い気持ちを抱えながら拓馬を見た。

だが、わたしが彼の顔を確認する前に、拓馬の手がわたしの髪の毛をかきわけて、額に滑り込んでくる。

彼の大きな手がわたしの額をすっぽりと覆い隠す。

 拓馬の手がわたしの額に触れた。

「元気がないみたいだけど、まだ体調が悪い?」

「そんなことないよ」

 やっとの思いでそう口にしたが、今のわたしに周囲を見渡す勇気なんてなかった。

だが、不思議と視線の鋭さだけは嫌と言うほど感じていた。

 額に触れていた大きな手が離れる。

「熱はないみたいだね。家に戻るなら送るよ」

「送るって補習はどうするのよ」

「そんなものより美月のほうが大事だから、サボる」
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