わたしは年下の幼馴染に振り回されています
 わたしが近くに行くと佳代はわたしの席を立ち、席を譲った。だが、その脇に立ったまま動こうとしない。
 前の席の里実は含みのある笑みを浮かべ、こちらを見ていた。

「拓馬君に会ったんだ」

「知っていたの?」

「この前偶然会ったから」

「じゃあ、佳代達のいっていたかっこいい人が拓馬ってことも?」

「それは知らなかったよ。まさかとは思ったけどね。でも、拓馬君相手でよかったじゃない。昔から一番仲のよかった男の子なんだから」

 彼女の言うことは間違ってない。幼馴染の男も、友人と呼べる男も空白期間があるとはいえ、拓馬だけだろう。だが、

どこか抵抗を感じてしまっていた。

「でも、やっぱり人気あるんだね。拓馬君。結構、告白とかされているみたいだよ。全部断っているみたいだよ」

「別に興味ないし」

「その割にはほっとしたような顔をしているように見えるけどね」


 里実は佳代と顔を合わせると、とんでもないことを言い出していた。

「そんなことないから。わたしと拓馬はただの幼馴染なの」
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