Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
璃音が寝た後も、ウェインは璃音の近くに腰掛けたままじっとジェイクを睨んでいる。
勿論、ジェイクも同じだった。
「・・・理由を聞かせてもらおうか。なぜ、俺達と一緒に行く事にしたのか」
ウェインの声には怒りが込められていた。その声は冷たく、低い。
だがジェイクはその声に一切表情を変えない。むしろ薄く笑みを浮かべた。
「理由は簡単ですよ。あなた達のこれからを見届けるためです」
ジェイクは剣先を地面に刺し、柄の上に手を置いてその先からウェインを見ている。
今にも切りかかんばかりのその気迫は計り知れない。
しかし、ウェインも負けてはいなかった。
「悪趣味な奴め。お前が知ってどうなる」
「何を言いますか。私はリオンが戻れない時の事を考えて一緒にいるのですよ。もし戻れない時、リオンをどうするか、あなたは考えていますか?」
ウェインはまた大きな舌打ちをして、さらに強くジェイクを睨んだ。
「またその話か。リオンは帰れる、俺が必ず元の世界へ返すんだ。俺はリオンと約束した、だからもしもの時など考える必要はない」
そうハッキリと言ったが、実際は本当に戻れるのかわからないのが実情。
確証が持てない事に少し苛立ってしまう。
「そうですか。・・・では」
そう言って、ジェイクはちらりとリオンを横目で見て、またウェインに目線を戻した。
そして、
「では、もし帰れないとなった場合、その時は私がリオンをこの手に掛けて、幸せにしていくとしましょう」