Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
「リオン。この国は、一番最初にヴォルデルトにやられた所なんだ。・・・実はな、ヴォルデルトはこの国の魔法使いだったんだ。元々は正義感溢れたいい魔法使いだった。それが、ある事を境にこの国からいなくなり、・・・そして変わり果てた姿で現れた」
「ある事を境に・・・?」
「それは一冊の本だ。・・・そう、「ルリ」がいた時代に同じくして、この世界を破壊と絶望に陥れようとしていた魔法使いが書いたとされる本。彼はその本を読んでしまったんだ。その本に魅了され、傾倒し、そしていつの日か歪んだ考えを持つようになり・・・」
それで世界をこんなにしたって事・・・?
「フィランドールの本!?その本はフィランドールの念が込められていて非常に危険だと、処分されこの世界にはない筈では!?」
割って入るように、ジェイクが声を荒げた。
「その筈だったのだが、処分されていなかったようだ。どこかでヴォルデルトの手に渡り、そして彼をあれほどまで変わらせた。恐ろしいくらいに強力な念だよ、そのフィランドールの念は」
ぎりり、とウェインの歯ぎしりの音が聞こえる。
拳を強く握り、その部分の色が赤黒く変色していた。
自分の国の魔法使い。
だからこの国で決着をつけようと・・・?