Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
何もなくていい。
皆が笑って過ごせるならそれでいいんだ。

あの暗く光りのない世界で、一筋の光を射す事が出来たなら。
絶望しかないあの世界で、希望を持つ事が出来たなら。


優しくも力強いメロディーが私の身体を駆け巡った。
その音は忘れることなく私の頭の中に刻み込まれ、そしてそれは自信となって力を放つ。


・・・吹ける気がする。
何があっても恐れずに、この曲を吹く事が出来る気がする。



やがて静かにそのメロディーは終わりを迎え、カズマは構えていたフルートをゆっくりと下した。

「・・・いい曲だろう?渾身の一曲だ。これなら後世に伝わってもなにも恥ずかしくはない」

「凄い・・・。カズマさんの想いが沢山溢れていて・・・」

「一つ一つの音に願いが込められているからな。当たり前だ」


カズマさんからフルートを受け取る。
するといきなりぐらん、と目の前が大きく歪んだ。


「・・・っ!!」

・・・この感じは・・!!
もしかして、元の世界へ・・・!?


「・・・どうやらお別れのようだな。検討を祈る。この世界の未来を君の手で救ってくれ・・・!」

「カズマさ・・・!!!」

「さよなら、リオン・・・!お前の人生がいいものになる事を願っているよ・・・!!」



目の前が真っ暗になる。
そして私の意識はそこで途切れていた。

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