Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
―――かび臭い匂いが鼻をつく。
この臭いは、あのシェルターの部屋だ。
その臭いで元の世界に戻ってきたのだ、と理解した。
目を開けると、ごつごつとした粗削りな石の天井が映る。
がばっと勢いよく身体を起こし、手元にあったあの本をめくった。
そこには先程聴いたあの曲。
その楽譜を見て、過去へ行ったのは夢ではないと確信する。
そのまま私はフルートを構え、その楽譜の音符を確認するように吹き始める。
フルートの音色に反応して、バタバタとこの部屋へ向かってくる足音が聞こえた。
「―――リオン!?」
勢いよく開く扉の音とその声に、身体が大きく跳ねた。
吹くのをやめ部屋の入口を向くと、そこにはウェインの姿があって、今にも泣きそうな歪んだ表情で私を見ている。
その顔に胸が締め付けられそうになった。