Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
「・・・ウェイン」
「悪い。お前のその強さを分けて欲しくて・・・。本当は俺も物凄く怖いんだ。俺の力よりも遥かに強大なヴォルデルトと対峙する事がとても怖い。だから」
そう言ってウェインは私から目線を逸らした。
怖いのは私だけじゃないんだ。
みんな同じ気持ちだった。
死と隣り合わせの生活をしてきて、もしかしたら死んでしまうかもしれない、そんな戦いを今からしようとしている。
それを恐怖だと思わない方がおかしい。
「いいんだよ、ウェイン。みんな一緒だよ。怖いけど、やるしかないんだよね。この世界を救うためには」
私もウェインのキスでさらに勇気を貰ったから。
ウェインが私にキスをしたのはそれだけの意味しかないとしても、それでも私は嬉しかったから。
「ね、ウェイン。この世界を平和に出来たなら、あなたに伝えたい事があるの」
「・・・伝えたい事?」
「うん。・・・だから、必ず生きて。私も何が何でも生きてみせるから。だから―――・・・」