Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
どうやらルリさんは私の心の中が分かっているようだ。
優しく私にそう語りかける。


『元の世界に未練はある。・・・だけど、愛する人と離れるのは嫌、その気持ちよく分かるわ。でもどちらも選ぶ事は出来ないの。だからよく考えて、リオンが後悔しないように』


確かに、あっちでの生活は中途半端なままで。

両親も、友達も、みんなどうしているのか分からないままで。
私がいなくなったことでみんな心配しているかもしれない、必死で探しているのかもしれない。

だから、みんなに会いたい。
その気持ちは消えることはない。


・・・だけどそれよりももっと、ウェインと離れる事が。

まだウェインをちゃんと知る事が出来ないまま。
ウェインに沢山触れる事が出来ないまま、忘れてしまうのが。

それがとても苦しくて辛いんだ。

忘れてしまったらそんな気持ちもなくなるのは分かっている。
だけど。


私は今の気持ちを大事にしたいんだ。

まだ伝えていない自分の気持ちを伝えて、彼と共に笑い合う事が出来るのなら。
彼の隣にいる事が出来るのなら。

それだけで私は・・・。

< 194 / 206 >

この作品をシェア

pagetop