Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
「―――これで良かったのですか?ウェイン」
先程まで璃音がいた場所をウェインはぼおっと見つめながら、ジェイクにそう声を掛けられた。
ウェインは力なくジェイクを見上げる。
ジェイクは納得出来ないといったような不満げな表情を浮かべていた。
「・・・これでいいんだ。リオンは元々この世界の人間じゃないだろう?リオンを想えばこそ、元の世界に戻すのが正解だと思う。それが愛だ、相手を想うからこその」
「また綺麗事を・・・!そういう所が本当に嫌いだ。最後の最後で自分の気持ちを伝えてあの世界に帰すなんて、リオンにとってどれだけ残酷な事だと思っているんだ!本当に帰す気があるんだったら、最後まで自分の気持ちを隠し通すべきだ!あなたの本音はそうじゃなかったでしょう!?」
ジェイクは声を荒げ、ウェインに言葉をぶつける。
その言葉にウェインは草花生い茂る地面に、勢いよく拳を落とした。
「ああそうだよ!本当は帰したくなんてなかったさ!!だけど、仕方ないだろ!?俺の気持ちだけで無理矢理この世界にいる方が残酷な事だろうよ!元の世界にはアイツの両親も友人も沢山いる、アイツの夢だってあの世界にあるんだ!辛い思い出しかないここの事なんて忘れてしまうのが一番だろうが!」