Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
「ジェイク、ありがとう。・・・・あ、そうだ」
私はジェイクに黒いケースを差し出した。
それは、ルリさんのフルート。
目の前に差し出されたことで、ジェイクは少し驚いた表情を浮かべている。
「これ・・・。いいのですか?これがなければリオンは魔法が・・・」
「いいの。別に魔法なんて使えなくても。それよりもこれはジェイクの国の大事なものでしょ?それにこれは、ジェイクがルリさんの血を引いているっていう証だもの。あなたの近くになきゃダメなものだよ」
ジェイクはその言葉に、ギュッとフルートのケースを胸に抱いた。
その顔は切なく、胸が締め付けられそうになる。
「大丈夫、あなたは一人じゃないよ。私はもうあの世界に私を知る人はいなくなってしまったけど、でも私は確かにあの世界で生まれ、そして育った。それに変わりはない。どこにいたって、みんな同じ人間だから。ひとりなんかじゃないから・・・」
「リオン、ありがとう。・・・やっぱり、あなたの事が私は」
「・・・ごめんね」
ジェイクは首を大きく左右に振る。
そして私に笑みを見せた。
「もっと早くに出会いたかった。・・・幸せに、リオン。また私達の国にも遊びに来てくださいね」
私はジェイクに満面の笑みを返す。
そして、ジェイクは自国へと戻っていった。