Repair of the world~フルート吹きの魔法使い2~
あの後、ヴォルデルトは人が変わったように、普通の人間と戻っていた。
聞けば、あのフィランドールの書かれていた本。
その本を彼が手にしてからその後の記憶がないらしく、彼の意識がないままで世界を絶望の闇へと陥れてしまった。
その事を知ったヴォルデルトは、その事実にいたく心を痛め、ずっと悩んでいたようだ。
「悲しいね。自分の意識を乗っ取られて、知らない間にこんなことになってしまうなんて」
「どうにかしてやりたかったけど、こればっかりはな・・・」
ウェインの絡める腕にグッと力が入る。
やりきれない想いがひしひしと伝わって、胸が締め付けられた。
「もうこんな経験は二度としたくないよ。つまんなくてもいい、平和な時間が続けばいい」
「・・・ああ、そうだな。その時間が一秒でも長く続くように、この国の為に、この世界の為に手を尽くすよ。それが俺に課せられた使命だから」