♥同居人は♥オカマです!

✳︎スミレ✳︎「よ、よろしくお願いします」




小声で恥ずかしがりながらモゴモゴと話すスミレを見て、私はなぜか安心感を得た。




たかが一ヶ月、されど一ヶ月。




もしもその一ヶ月の間にスミレが私よりコミュ力高すぎな小学生になっていたらどうしようかと内心心配していたのだ。




…いや、それはそれで元気な小学生らしく可愛いけど、やっぱりそれは寂しい。




✳︎蓮司✳︎「よろしく!」




蓮司君は子供の扱いが上手だな。




✳︎スミレ✳︎「ねえお姉ちゃん、蓮司お兄ちゃんと、あと、もう1人だれか一緒に住んでるんじゃなかった?」




✳︎歌凛✳︎「ああ、聖司君のことね。
黒羽 聖司っていうお兄ちゃんがいるんだけど、今は実家に帰ってるの」




そういえば聖司くん、あれから全く連絡ないけど大丈夫かな。




…いけないいけない、今は聖司くんよりスミレたちのことだ。




✳︎蓮司✳︎「聖司お兄ちゃんはね、イケメンで頭脳明晰な完璧少年なんだよ。超意地悪だけど」




✳︎歌凛✳︎「…超意地悪は嘘、かな。たまに意地悪なだけで。あ、普段は優しいよ」




しまった。これでは聖司くんの株を下げてしかいないことになってしまう。




✳︎二階堂✳︎「まあ、意地悪はそうかも。
だけど、聖司が実家にねぇ」




二階堂さんはそう言って少し考え込んでから食器棚をあけてお皿を出し、ありとたらゆる食事を盛り付けた。




どうやら急用を思い出したとかで、「お先に失礼」とそのまま自分の部屋へ行ってしまった。




✳︎お母さん✳︎「桜ってば、いくら私たちとはいえ、お客がいる時に全く。
それで、歌凛はどちらと仲がいいの?」




いきなりお母さんが話題を変えた。




どちらと言われても、どちらも同じぐらいの仲の良さだと思うし、私は答えに迷った。

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