♥同居人は♥オカマです!
そう決心してから私は、このままだと本当に風邪を引いてしまうので、バスタオルを体に巻いた。
スミレの選んでくれる服なら絶対に間違えない。
お母さんと違って派手派手しくないし、露出もない。
どうして私とお母さんは服の趣味がこうも合わないのか…。
思い出してみれば、私は昔からお母さんに自分の趣味と合わない服をよく着させられていた。
肩の開いた服、背中の開いた服、丈の短いスカート……。
背中開きのシャツに限っては、悪魔のいけにえばりの服だった。
✳︎歌凛✳︎「はぁ…」
私がため息をつくと、ガラガラと音を立ててドアが開いた。
はやくもスミレが来てくれたのだ!
✳︎歌凛✳︎「ごめんねスミレ」
「ありがとう」で締めくくろうと思ったその時、私は気づいた。
ドアを開けた相手は、蓮司くんだった。
✳︎蓮司✳︎「あっ、ご、ごめん!」
✳︎歌凛✳︎「す、すみません!!」
…バカバカバカ!私のバカ!
こうなるならあのシャツ着ておけばよかった!!
蓮司君はすぐに扉を閉め、扉越しに話した。
✳︎蓮司✳︎「スミレちゃんが出てたから、二人とも出たかなぁと思って…」
✳︎歌凛✳︎「色々あって、着替えがなかったんです。びっくりさせてごめんなさい。」
✳︎蓮司✳︎「私の方こそごめん。女の子の次に入るんだし、もっとよく自分の体の性別考えるべきだった…」
少し暗い口調で蓮司くんは言った。
いつも明るく振舞っているけれど、やっぱり色々気にしてるんだろうと私は思った。
こんな時に掛けてあげられる最適な言葉が見つからない。
私がスミレのような、何もしなくても心を癒せられる天使であれるならどれだけいいだろうか。