可愛いヤツ
01
付き合いだして1週間。
姫川は俺のことを“史葵くん”と呼ぶ。
俺は“姫”だったり“綾”だったり。
「なぁ姫。今日3限までだろ?
昼飯食いに行こーぜ」
「そうだね。どこで食べる?」
俺達は何だかんだでバランスが取れているらしくケンカは1度もない。
まぁ1週間しか経ってないんだけどな。
それに俺自身が姫川のことを気に入っている。
そこらにいる女より美人だし、可愛いし。
「姫、こっち向け」
「ん? どうし━━━んん」
まだ話している途中の姫川の唇に自分のそれを重ねる。
唇を離し、姫川を抱き締める。
「史葵くん? どうしたの?
外でなんて今までなかったのに」
「イヤ、だったか?
綾が可愛いから悪いんだよ」
そう言いながら意地悪く笑ってみせると姫川は顔を赤らめた。
「ホント、可愛すぎんだろ」
「もう!///
ホラ、早くご飯食べに行こうよ」
俺の腕の中から抜け出し、校門へ向かって歩き出した姫川を俺は小走りに追いかけた。