とある悪女の物語。
愚かな悪女
「……あんの女、本当ありえない」
ガリ、と爪を噛んで目を吊り上げて怒るユリ。
その視線の先は中庭に出来た人だかり。
その中心には黒崎さんと_____あの女。
「ブスのくせに何で黒崎さんの横にいんの?」
いつもは穏やかなサクラちゃんも悔しそうな顔をしていて、イオリはさっきからずっと険しい顔をしてスマホを触っている。
「あぁ、イライラする」
「……何であたしがダメであの女がいいのか分かんない」
あの女と黒崎さんは最近よく二人で一緒に過ごしている為、あの女はこうして一身に多くの嫉妬を浴びている。
嫌がらせに発展することも時間の問題。
「今日、ファンクラブの集会開くから」
________ほら。
ずっとスマホを弄っていたイオリが…不気味な笑みを浮かべて、微笑んだ。
私はただそんな三人の光景を見ているだけだった。
サヤカも、貼り付けている笑顔の裏では_____きっと軽蔑の視線を向けているだろう。