とある悪女の物語。
可憐な悪女
朝学校に着くと、そこにはやはり多くの人々が集っていた。
見るからに男なんて一人もおらず、花園かのように女が校門に体を向けてソワソワとしている。
鏡を見てグロスを塗っていたり、スマホを弄っていたり、周りの人と浮き足立って騒いでいたり。
通り道まで塞いでいるから邪魔だなぁ、なんて思いつつ足取りは自然とゆっくりになるのは仕方がないと思う。
だって……
「っ、黒崎さん達来たよ!」
私だってここにいる大勢と何ら変わりはないんだから。