姫と年下王子たち
「…あ、はい」


秋月さんは、おずおずと傘を広げる。


「ほんとにこの傘、借りちゃってもいいの?」

「うん」

「あ、そーだっ!重いのに、荷物持ってくれてありがとー!」


俺が持つ荷物に手を伸ばす、秋月さん。

しかし俺は、その手を後ろに引いた。


「家まで送ってく」

「え?…でも悪いよっ」

「だから俺は、べつにいいって。両手に荷物持ったままだと、うまく傘差せないでしょ?」
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