姫と年下王子たち
この声は…。


「桔平くん…」


まさかとは思ったけど、暗がりの公園に佇んでいたのは、先ほど家庭教師で指導していた桔平くんだった。


桔平くんは、少し驚いたように近づいてくる。


「もしかして、…ひなちゃん泣いてるん?」


あたしの顔を覗き込もうとする桔平くん。


こんな泣いている姿、桔平くんに見られたくないっ…。


あたしは黙ってその場を立って、走り出した。
< 549 / 3,957 >

この作品をシェア

pagetop