切れたミサンガを糧に。
濃紺の空に浮かぶ月の光に照らされた私の同級生は

やけに真剣な顔つきだった。


同級生は私の右手首を優しく掴み、生徒を叱る先生の眼差しを向けた。


どうして彼氏でもない同級生と月光の元に居るのかと言うと、

相手が寄越した一通のメールのせいだった。


“九時にお前の家の方の公園に来い”


夜の公園、男女と言われれば聞こえは悪いがあの同級生のことだ。


何も無いだろうと同級生の寄越した強迫文と言った方が

正しい内容を私は承諾した。



指定時間の五分前、私は公園についた。


ベンチに人影があり、それが同級生だとすぐに気付く。


いつも丸い背中が冬の夜風のせいかもっと丸くなっている。


後ろからそっと近付こうと足を忍ばせたが砂の擦れる音で

振り向かれてしまった。


「おっす。」


同級生がヒョイっと右手を挙げた。


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