切れたミサンガを糧に。
「...おっす。」


私は煮え切らない声で返す。


いい香りがするなと思いながら隣に座ると

左手にコーンクリームの缶を持っていた。


私の視線に気付いた同級生がジャンパーの

右ポケットからミルクティーを取り出し、私の頬にあてた。


「ありがと。」


私は同級生から缶を受け取った。


早速缶を開け、一口含む。


一瞬でミルクティーの甘さと暖かさが私を満たした。


ミルクティーがだいたい半分に減ったところで同級生が話を切り出した。


「今日、呼んだ理由なんだけど。」


いつもふざけてばかりいる同級生にしては珍しく真面目な声で

私は顔を見るのが怖かった。


俯いた私は返事もせずに両手で持った缶の縁をゆっくりとなぞった。


すると同級生は急に立ち上がり、私の前に立った。


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