切れたミサンガを糧に。
私は予想もしていなかった同級生の行動に驚き、見上げる。


同級生は無言で私から缶を奪い取り、何も聞かずに飲み干した。


「あっま。」


同級生は片手で缶を二つ持ち、律儀にゴミ箱まで捨てに行く。


帰ってくるなり

「別に病気だとか転校するだとかじゃねぇから。」

と言った。


唖然としている私の頭を同級生は撫でながら微笑む。


「願掛けしてた足のミサンガが切れただけ。」


なんだそんなことで呼び出されたのかと思わず顔をしかめた。


「急に呼び出した理由それだけとか。びっくりしたじゃん。

それ他の子にやったら殺されてるかんね。で、願掛けって何したの。」


緊張の糸が切れた私はよく舌が回った。


すると何も言わずに真剣な顔つきになった同級生は


私の右手首を優しく掴み、引き寄せた。
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