図書館
不意に窓から吹き込んだ風に
髪が揺れた。
彼女の髪は
長いのに手入れが行き届いていて
本当に綺麗だ。
ただ勉強するために
来たはずなのに…
彼女が気になって仕方がない。
いつも本棚の影の席に座って
同じ本を読んでいる。
声をかけてみようか
そんなふうに
考えたこともあったけど
今はこのお互いを知っているようで
知らない関係が
何だか心地良い。
僕が参考書をとりに立つと
彼女と目があった。
彼女の目は大きくてキラキラしている。
昔から身長が高くて
目立つ方だった。
でも、こんなに綺麗な目で
見つめられたのは初めてだ。
顔が熱くなっていくのがわかった。
もうきっと耳まで真っ赤だろう。
僕がなんなのかわからない感情に
襲われているとき
風はいつものように
僕らの髪を揺らしていた✡*。゚