雨の繁華街
「い、いやいやいや!そんなこと言われたって、はいそうですか、なんて言えるわけないじゃん!」
唯一吐き出せた言葉は、自分でも思う、なんて消極的かつ逃げ腰なのだろうか。
けれど普通こんな反応になるだろ、と自己弁護もなきにしもあらず。
「まあ、そりゃそうよね。おにぃさん、優柔不断そうだし優男っぽいし」
いつの間にか雨が弱まり始めている。それに気付いた彼女は、さっき貸した傘を緩やかに閉じ丁寧に折り畳む。俺がまとめるとそうは綺麗には巻けない。手際の良さがどこか上品であると空気で伝えてくる。