雨の繁華街

あの日は丁度、梅雨時期には当たり前のように見られる雷も鳴り響く土砂降りの雨だった。

湿度は高くじわりと額にへばりつく前髪と傘など差していても無意味で風と相まって、ますます全身が濡らされていく。そんな暴風雨と呼ばれる強い雨に打たれながら荷物と大切な将来の商売道具になろう楽器を濡れないように必死に抱え、街の中を通り抜けるように走っていた。一刻も早くスタジオに着くようにと。
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