雨の繁華街
「今更もういいじゃん、お前で似合ってるんだから。だからアヤさん?だっけ、素のお前を知ってるんだから何も思わないって」
相変わらずニヤつきを止めない晴樹、ドリンクバーから取ってきたもう何杯目かわからない珈琲を飲み干す。
「けどさー….」
「何だよ咲斗。お前、格好いいとこだけ見せたいとかそんな感じなわけ?もしかしてアヤさんに惚れてんの?」
晴樹の言葉にギョッとして思わず持っていたティーカップを太股に落としてしまう。幸い中身は飲み干したところだったから、少しの染みだけで済んだのだけれども多少の痛みは残る。
「おいおい、咲ちゃんさー。図星だからってテンパるなよ」
「ち、違う!断じて違うからな!てか憶測でモノ言ってんじゃねえよ!」