雨の繁華街
「ていうかアヤさん、どっか出掛けてなかったの?」
頭を乱雑に拭きながら彼女に少しばかりのカマをかけてみる。
先程の光景からしてよほど急ぎの用事だったのかもしれないし、ただの俺の考えすぎなだけで外出の事情だってすんなり教えてくれるかもしれない。
….動向を一々気にする自体可笑しい話なんだけど。
「…えー?出掛けてないよぅ。あ!駅前のスーパーには行ったかな」
何時もと同じ、はにかんだ笑顔。
それに何故か物凄く衝撃を受けた。けれど俺には何か違って見えた。何か違う、彼女は何か隠している。というより、笑顔と言う薄い膜を張り拒絶して何も俺には話す気などなさそうだ。