雨の繁華街
どうして、こんなにも彼女の一挙一動に一喜一憂しているのだろうか。
そしてどうして、俺は彼女の笑顔、時より見せる憂いた横顔が焼き付いて離れないのだろうか。
そして何よりも、何に対して哀しみを隠し明るく振る舞おうとしているのだろうか。
此処に来て、彼女がいったい何処の誰なのかや何処から来たのかだなんて考えもつかなかったのだ。
「さーきちゃん♪」
背後から聞こえたそんな憂いをかき消すような明るい声。顔を上げると眼前にたった今想いを馳せていたまさにその人がいた。
「アヤさん、なんで…」
「だって咲ちゃん、最近わたしのこと避けてるしなかなか会えないから探しちゃった。」
にっこりと笑い目を細める彼女。俺の行動や想いなどは彼女にはお見通しのようだ。
けれどもそこには悲哀とか憂いなど瞳には浮かべてはいない。