雨の繁華街
「おにぃさん、なに見てるの?」
不意に聞こえたそんな声。 目の前には白金の美しい人。吃驚したことを隠すように冷静に振る舞おうと視線を彼女に移し次に発せられる言葉を待つ。先程見えた涙は何時の間にか消えていた。その代わりに、新しい玩具を与えられたような、そんな子どもみたいな無邪気な笑顔が散らばっていた。
「あれ?おにぃさん聞いてる?」
「…あ。ごめんなさい。つい。けどお姉さんこんな場所でこんな時間なのに何してるの?危ないよ」
一瞬の沈黙。そしてふわりと口角があがり、俺の問いに解答をしてくれるようだ。
「うーん…,。云うならば、ナイトを待ってる、かな?」
「…。お姉さん、酔ってる?」