ビターチョコに願いを込めて
頑なになってしまっている私の頭上から、馬鹿、と呆れたような声が発せられた。



「人間みんな、自分の物語の主人公だろ。あのドラマで主人公を好きだった男も、また別の主人公の好きな相手になる。叶わなかった恋の先で実る想いもあるんだよ、きっと」

「……」



私の気も知らないで。

馬鹿は……どっち。



「……あんたもう、詩人にでもなれば?向いてると思うよ」

「てめ……馬鹿にしてるだろ」



馬鹿になんてしてない。

する筈ない。

あんたが彼女を想う気持ちが本物だって、私が一番知ってるもん。



知ってるからこそ押すことも引くことも出来なくて、私はまたその場で足踏みしてしまうの。



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