ビターチョコに願いを込めて
案の定、彼女達に声をかけた男達。

ちらりと視線を横に向けると、彼は一歩を踏み出すことを躊躇っているようだった。



今日のカウント数は、過去最高の34。

それは、彼の中の想いが募ってる証。



「……それ、頂戴」



悔しそうに唇を噛む彼の手から、ビターチョコを奪い取る。

そしてそれを迷うことなく口の中に放り込んだ。

瞬間、口内に広がる苦味。



「結梨!?お前苦いの駄目じゃ……っ」

「……っ」



駄目だよ。

甘くなきゃ食べらんないの。



「にっが……」



彼に背を向けて、溢れそうになる涙を必死に堪える。

ここで泣いたら、全てが台無し。



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