ビターチョコに願いを込めて
私が手に取ったミルクチョコレートを見て、彼は顔を顰める。

いやいや、アンタだって。



「私にはそんな苦そうなビターチョコ、考えらんないんだけど」

「馬鹿にすんなよ?苦いからこそいいんじゃねぇか」

「わかんないわー」



言いつつ、彼が持っていたチョコを掻っ攫い、レジに持っていく。



「ちょ……」

「気が向いたから奢ってあげる」



この前奢ってもらったし、という言葉は口にしない。

会計を済ませ、私は先に店を出た。

後を慌てて追ってきた彼に、袋から出したビターチョコを手渡す。



「ん」

「……サンキュ」



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