ビターチョコに願いを込めて
覚えていないと言うより、わからない。

ライクかラブかの違いなんて考える時間もないくらい自然に、いつの間にか彼を好きなっていた。



だけど最近、彼はよく窓の外を見ている。

その視線の先に誰がいるかなんて、すぐにわかったよ。

ふわふわな天然パーマがよく似合う、吹奏楽部の“ハナサキ”さん。

彼女を見つめる彼の表情は、ずっと一緒にいる私にでさえ向けられたことがないような優しいもので。

放課後一緒に残ってるときもずっと、部活終わりの彼女をきっと無意識に探してる。



彼にとって私は仲のいい女友達で、それ以上でもそれ以下でもないんだろう。

意識の対象なんかじゃなくて、それは何よりも苦しかった。



< 7 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop