幼馴染の定義【完】
いつも目で追っている斗真の姿。
後ろ姿だったり、横顔だったり。
今日は横顔だった。
それなのに、何かに気付いたようにこちらを向いた斗真と、バチッと視線が重なった。
さすがのはじめちゃんも驚いている。
斗真はあたしに微苦笑を向けて、すぐ周りのグループの人間に目を向け、笑顔を見せた。
心臓が軋むのがわかる。
もう随分と、斗真のあんな笑顔を向けられたことは無い。
「はじめちゃん、行こう」
視線は重なるのに、少し大きな声を出せばすぐ届く距離にいるのに、どうしてこんなにも遠いんだろう。