幼馴染の定義【完】
斗真はいつだってあたしより数歩先に居る。
学校に着けば今日はまだ斗真は来ていないようで、廊下で駄弁る男女にどことなく活気が無い。
教室に入ればいつものように読書をするはじめちゃんが居て安心した。
「はじめちゃん、おはよ」
「あぁ、庄田か。おはよ」
はじめちゃんはあたしの声に片耳のイヤフォンを外して、そう答える。
眼鏡の奥の美麗な顔。
切れ長の瞳があたしを射抜く。
「泣いただろ」
「ばれた」
はじめちゃんの細長い綺麗な指があたしの目元をゆるゆると撫でる。
それが気持ち良くて目を瞑れば、わしゃわしゃっとせっかくセットした髪を撫でられた。