幼馴染の定義【完】
――遠い昔、一生の宝物だと思ったオモチャは、もう手元に残っていない。
そうやって、人の価値観や大事な物は風化して行く。
あたしが良く一緒に眠っていたくまのぬいぐるみも、宝物だと思ったキラキラのアクセサリーも、全部全部、いつの間にかなくなっていた。
斗真だってそれとなんら変わらない。
ただ、それにあたしの気持ちがついて行かないだけで。
あたしがいつまで経っても手放したくないだけで。
そうやって、もうとっくの昔に思い出になってしまった斗真の幻影に縋る。