幼馴染の定義【完】
いつだって、昇降口に行く為にわざわざ2組の前を通る。
一瞬、ほんの一瞬だけ足を止めて扉に視線を這わす。
そうして斗真の姿を見つけては溜息が漏れる。
そんなあたしを、はじめちゃんは気に食わないのだろう。
「そんなに気になるんなら声の1つや2つでも掛けたらどうなんだ」
「……うん、そうだね」
「……はぁ」
はじめちゃんは深く溜息を吐いて歩き出した。
斗真の横顔はやっぱり少し元気が無いように思う。
「ごめんね、帰ろっか」
彼女と別れたことがそんなにショックだったのかなぁ。