幼馴染の定義【完】
今だってあたしの目の前の席に座り必死に板書をしている。
斗真が大学に合格すれば、もしかしたら一人暮らしをするのかもしれない。もうあの部屋の窓が開くのを待つことは無くなるのかもしれない。
……大人になりたくないなぁ。ずっと子どものままが良かったよ。
そうしたらこんなに苦しい思いも、しんどい思いも、知らないままで良かったのに。越えられない壁に、肩を落とさなくて済んだのに。
冬季講習が終わり、各々席を立ち始める。
隣に座るはじめちゃんも筆箱の中にペンをしまってるし……、
「巡、帰ろう」
……斗真だって、顔だけこちらに向けた。
家が隣なんだから一緒に帰ったって何もおかしくない。