幼馴染の定義【完】


だからそこに甘えてる自覚はある。


気持ちを伝える勇気なんて到底無い弱虫なのに。

……はじめちゃんが居なかったら今頃どうしてたんだか。


大学に入って斗真の存在が薄れて行けば、鉛のように重くどんよりと曇るこの気持も、少しは晴れてくれるんだろうか。


物心ついた瞬間から刷り込まれたこの感情は、もしかしたらただの錯覚かもしれない。……それならどれだけ楽になれるんだろう。


――まるで呪いだ。

この関係に終わりが見えない。



幼馴染の恋愛法だとか、遠距離の恋愛法だとか、人の心の中を知る術だとか、全部全部教科書で定義してくれたら良いのに。


斗真の心の中が少しでも覗ければどれだけ救われて、どれだけ底に叩きつけられるんだろう。

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