幼馴染の定義【完】


あたしがその呼ばれ方に弱いのを知っていて今それを使ったのなら、確信犯も良いところだ。……残念ながら、斗真はきっと知らないと思うけど。



「……ご、めん、」


震える声ではその一言が限界で……、斗真の眉根がキュッと寄ったのが視界に映った。



「それって何の“ごめん”?」


「……」


「……はぁ、」


「っ、」


呆れたように吐き出された溜息に思わず肩が震える。



「だんまりか。なら、ノートの文字は?」


「……っ、」


「俺の名前と関係ある?」


一歩下がれば、斗真も一歩詰め寄って来る。

ついには壁にトンと背中があたり、いよいよ逃げ場が失くなってしまった。





「ね、――“すき”ってどういう意味?」


顔の両側にドンッと手を突かれ、心臓がドクンと嫌に跳ねた。
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