幼馴染の定義【完】
斗真は、髪を染めたあたしに何も言わなかった。
髪を伸ばし始めたあたしにも、何も言わなかった。
ピアスを開けた時も、何も言わず、ジッとピアスを見ていた。
「おはよう、庄田〈ショウダ〉」
教室に入れば、聞こえて来た第一声。
黒髪に眼鏡を掛ける男から発せられた物だ。
「はじめちゃんおはよ」
「相変わらず根暗臭漂ってるな」
「うるさいな。ほっといて」
優木 一〈ユウキ ハジメ〉。
唯一の男友達とも言えるはじめちゃん。
中学時代の図書委員が同じだったからか、高校に上がってからもずっと仲が良い。
「お前を見てるとイライラする」
「なら見なけりゃいいでしょ」
「どうせまた、由比〈ユイ〉のことだろ?」
はじめちゃんの勘が鋭いのか、あたしがわかりやすいのか。
その通りだった。