莉佳の不思議な冒険
防衛省と聞いて、私の頭はパニックになった。
「防衛省って、あの防衛省ですか?」
よく見ると、スーツも安物のスーツではない。
よくテレビの中で見かける、国会議員のような人が目の前にいた。
防衛省という言葉は、学校でやらかしたことをで一杯だった頭を現実に引き戻すぐらいのインパクトがあった。
彼はちょっと面白そうにしてから、名刺を差し出した。
「今日は、君の父方のおじいさんのことでちょっと聞きたいことがあってね。」
私は不安げにあたりを見渡した。警官がいるのはどういうことだろう。
あいにく、母の車はまだなく、それは家に誰もいない事を示していた。
「その祖父ならもう亡くなっていますが。祖父が何かしたんでしょうか?」
彼は優しげに笑って答えた。
「いや、いや、犯罪とか、そういう話では無いんだか。」
その時、警官の内の一人が出てきて、警察手帳を開いて見せた。
「こういう者だが、ちょっと話を聞かせてくれないか。」
あたりはどんどん暗くなっていく。
私は腹を括って口を開いた。
「分かりました。ここで話すのもなんですので、上がっていかれませんか?」
そう言って私は家の玄関のドアに近づくと、取り出した鍵でドアを開け、彼らを家の中に通した。