莉佳の不思議な冒険
4時限目は文化祭の準備だった。
ガムテープが必要になって生徒会室に取りに行く。
生徒会室をノックすると、女の先輩が出てきた。
「ガムテープを貰いに来ました!」
はきはきした声でそう言う。まだキャラを被っている。
私もおとなしいと思われたくなくて無理にはしゃいでいた。
「ああー、久しぶり!私のこと、覚えてる?韓国への留学で一緒だったよね?」
私は必死に記憶を手繰り寄せようとした。だめだ、分からない。
適当に調子を合わせる。
その時、中から一人の男の先輩が出てきた。
「先輩、こんにちは!」
彼はちょっと驚いたようにした。
「こんにちは。」
その時、中から同じクラスの秋村くんが出てきた。
決してクラスの中心グループにいる訳ではないが、浮いているわけでもない。
ちょっとうさぎみたいでハーフっぽい顔をしていた。
彼が生徒会をやっているのは聞いたことがあった。
「ガムテープ取りに来たんだけど。」
「ああ、これ、はい。」
ガムテープを受け取ると、私は先輩たちにお礼を言い、生徒会室を後にした。
クラスに戻ると、悪口大会の真っ最中だった。
「てかなんでこうなるんだろうね。」
中の一人が言った。
山内さんが答えた。
「女子が集まったらこうなるのはしょーがないっしょ。」
「ていうかさぁ、りお、男連れてったんでしょ?まじありえない。」
これは、りおという子が、資料集めの為に図書室に男子達と行ったことを指している。
「宮城さんって、初めて見た時はお人形さんみたいっておもったんだけど、性格がねー。」
その時、南さんが泣き出してしまった。
南さんは、クラスの中心人物のひとりで、とても背が高く、ちょっと猫背で、他校に彼氏が居るとの話だった。
その時、私のグループの一人、まりちゃんが、彼女を慰めに、教卓に行った。
「みなみー、みなみー、大丈夫?」
まりちゃんはこういうとき、とても上手く動く。