莉佳の不思議な冒険
質問コーナーに歩いて行くと、担任の石川先生の他に、私の所属している音楽部の顧問である大浦先生もいた。
石川先生は男の先生で、大浦先生は女の先生だ。
「こんにちは、奥村さん。」
大浦先生が口を開いた。
「こんにちは。」
私は、どうしようもなく大浦先生が苦手だった。
不思議そうに私は尋ねた。
「どうして大浦先生がここに?」
石川先生が答えた。
「この間のテストの成績を見て、このまま部活を続けさせるわけには行かないってなってね。」
「そんな!」
私は声を上げた。もうすぐ、合唱のコンクールがある。それにはどうしても出たかった。
その後、気付けば大浦先生と口論のようになっていた。
それを、石川先生は驚いたように見ていた。
私達の間では、部の方針などを巡ってよく起きていたが、本来なら許されざることだ。
私は軽々しくそんなことをしてしまった自分を恨んだ。
「あなた、私の話に付いてこれてる?」
その一言で、私は我に返った。
「どうしてですか?付いてこれてますよ。」
精一杯の虚勢を張ってそう言い返す。
一通り私をやり込めると、大浦先生は満足そうに職員室に帰っていった。