莉佳の不思議な冒険

質問コーナーに歩いて行くと、担任の石川先生の他に、私の所属している音楽部の顧問である大浦先生もいた。

石川先生は男の先生で、大浦先生は女の先生だ。

「こんにちは、奥村さん。」

大浦先生が口を開いた。

「こんにちは。」

私は、どうしようもなく大浦先生が苦手だった。

不思議そうに私は尋ねた。

「どうして大浦先生がここに?」

石川先生が答えた。

「この間のテストの成績を見て、このまま部活を続けさせるわけには行かないってなってね。」

「そんな!」

私は声を上げた。もうすぐ、合唱のコンクールがある。それにはどうしても出たかった。

その後、気付けば大浦先生と口論のようになっていた。

それを、石川先生は驚いたように見ていた。
私達の間では、部の方針などを巡ってよく起きていたが、本来なら許されざることだ。

私は軽々しくそんなことをしてしまった自分を恨んだ。

「あなた、私の話に付いてこれてる?」

その一言で、私は我に返った。

「どうしてですか?付いてこれてますよ。」

精一杯の虚勢を張ってそう言い返す。

一通り私をやり込めると、大浦先生は満足そうに職員室に帰っていった。




< 9 / 13 >

この作品をシェア

pagetop